2003年に母校の大学で開催された深澤直人氏のワークショップに参加する機会がありました。これはそのワークショップで制作した作品をベースにデザインを改良して作り直したものです。当時の作品は、ウレタンフォームに塗装しただけの簡易的なモックアップだったので完成度はあまり高くなく、造形についても多くの改良の余地があると思っていました。この改良版では、ABS樹脂をマシニング加工し、念入りに研磨してイメージ通りのプリンの質感に近づけました。プリンを食べたことがある人であれば、スプーンですくったあとの形は記憶の中に持っています。側面のテーパーもまたプリンらしさのひとつです。これらの記憶の中のイメージを造形に落とし込み、皆が共感できるように注意深くデザインしました。